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札幌市 NoMaps2020 ビジネスカンファレンス

NoMaps2020 ビジネスカンファレンスにおけるトークセッション3本の企画、登壇者の検討・打診、アーカイブ記事制作を行いました。

お手伝いした経緯

NoMapsは「北海道を舞台に新しい価値を生み出す大きな枠組み」です。毎年10月ごろ、北海道・札幌にてビジネスカンファレンス、音楽ライブ、映画祭などを行っています。
2017年に、以前から交流のあったクリプトン・フューチャー・メディアの服部さんからお声がけいただき、NoMapsをお手伝いするようになりました。また2020年からは、実行委員として運営に携わっています。
実行委員となった2020年は、毎年恒例となったビジネスカンファレンスのトークセッション3本を企画し、実施しました。

企画の前提

NoMapsのビジネスカンファレンスは、北海道内外で新しい取り組みを通じて新しい価値を生み出したいと考えている方々が主な参加者です。トークセッションはそのような参加者の方々が聞いて、新しい発見を得られるようなものにしたいと考えました。
さらに今回は、スタートアップなどのような新しい業界の新しい取り組みではなく、長く続いている業界の新しい取り組みにスポットライトを当てました。
長く続いている業界には大きな企業も多く、そこではたくさんの方々が働いています。しかし大規模がゆえに、新しい取り組みを行おうとすると、多くの時間や労力が必要になる場合も多くあります。今回のトークにて、そのような課題に正面から取り組んでいる方々の事例を取り上げ、大きな企業や長く続く業界で働く方々のアクションを後押しすることができればと考えました。

つくったもの

企画をした3本のトークセッションでは、主に道内で新しい取り組みをしている方々にお声がけしました。
これまで関わりを持ってきた方々と、設定できそうなトークテーマ、関係してお話をお伺いしてみたい人などを総合的に考えた結果、「金融機関」「札幌国際芸術祭の研究チーム×NoMaps」「テレビ局」という3つのテーマで取り組みを紹介することにしました。
1本目のトークセッションは、金融機関の方々にご登壇いただきました。
3社の共通点は、それぞれが地域の人との接点をつくることに注力している点です。具体的には、帯広信用金庫の『とかち・イノベーション・プログラム 』、しののめ信用金庫(群馬県)の『まちの編集社 』、そして日本政策金融公庫の『高校生ビジネスプラン・グランプリ』が紹介されました。
出典:しののめ信用金庫(群馬県)の『まちの編集社』公式サイト より引用
出典:しののめ信用金庫(群馬県)の『まちの編集社』公式サイト より引用
これらは、融資などといった金銭のやり取り以外の方法で金融機関が地域の活性化を目指している事例です。地域の産業と密接に関わる、地域に根ざした金融機関だからこそ取り組むことのできる新しい活動。その具体的なお話と、それぞれの担当者がかける熱意をお伺いすることで、金融機関のみならず地域の産業を牽引する存在にとって、新しい取り組みのヒントになる話が多くありました。
担当した2本目のトークセッションは、SIAFラボの方々にご登壇いただきました。SIAFラボは、3年に一度の祭典、札幌国際芸術祭(略称:SIAF)に関連して、新しい芸術を生み出すための基盤となる、実験的な取り組みをしている団体です。
SIAFラボは文化や芸術の発展のために、NoMapsはビジネスや産業の発展のために、それぞれが活動しています。活動範囲が異なっていることから、これまであまり接点がありませんでした。しかしお互いが、札幌市が推進している「メディアアーツ」という分野に関わる活動をしてきたことから、SIAFラボと一緒にできることはないかと考え、NoMaps側からお声がけしました。
SIAFラボでプロジェクトディレクターを務める石田さんは、札幌の特性として「都市と自然が共存していること」を挙げました。SIAFラボは、「つらら」を用いた芸術作品を展示する「さっぽろ垂氷まつり」や、除雪をテーマにした展示などを行い、都市と自然の共存を表現しています。
このような「札幌らしさ」を軸にすることが、SIAFラボとNoMapsの連携の鍵となるかもしれません。SIAFラボの3名、NoMaps側でお声がけした2名とともに、札幌のメディアアーツに関係する活動や今後の可能性について深く意見を交わし、「創造都市」札幌の発展につながる交流のきっかけになりました。
そして3本目のトークセッションでは、テレビ局で活躍されている3名にご登場いただきました。
スマートフォン、インターネットが普及し、テレビ以外にもコンテンツの選択肢が多様になっています。2020年時点では、20代、30代などの若い人ほどテレビを見ない人の割合も増えているという調査もあります。
視聴者との距離を、どのようにしたら近づけられるのか。その課題に対して、お三方が挑戦していることについてお伺いしました。
従来の番組制作の仕方をガラッと変え、視聴者と一緒に番組をつくっているNHK北海道の大隅さん、YouTubeやTwitterで視聴者の方々との交流をしているUHB北海道文化放送のアナウンサーの廣岡さん、そしてHTB北海道テレビ放送にて、ご自身の乳がんの経験をブログやノンフィクション番組として発信している阿久津さん。それぞれが違った方法で、視聴者との接点をつくっていました。視聴者一人ひとりと濃い関係性を築いていくことが、テレビ局と視聴者の距離感を縮めていくことにつながるという一つの可能性を提示できたセッションとなりました。

できたこと

3つのカンファレンスは、オンラインにて平日の日中に開催されたにもかかわらず、常時100人ほどの視聴数がありました。
実際には、金融機関やテレビ局などの大きい業界で、新しい取り組みを推進することには反発も多くあっただろうと想像できます。しかし今回お伺いしたみなさんは、それぞれの思いで難しい状況を乗り越えて、取り組みの実現を目指してきました。こうしたお話は、同じように長く続いている業界や大企業で働く方々にとって、勇気づけられるものであったのではないかと思います。社内や業界内で前例のないことに取り組むうえで、参考になる部分も多くあったのではないでしょうか。
また今回ご登壇いただいたみなさんは、このトークがきっかけでお互いを知ったという方もいました。新しい取り組みをする方々の繋がりをつくることで、登壇者の方々の挑戦を後押し、今後のさらなる価値づくりを促すことができたのではないかと考えています。