🏃 長期的にどうありたいのか
🏃 長期的にどうありたいのか
これまで2年ほど、紆余曲折ありながらクライアントワークを中心に進めてきました。しかし、ローカルを拠点にクライアントワークを続けていくことには、企画や編集、あるいはコンサルティングという仕事の性質上、明確に先がありません。下記は同じようなことを考えている人に向けたメモです。
東京と同じことを同じ労力でやるとしても、単純に価格が低い
- 肌感覚として、札幌の案件あたりの予算は東京の1/5〜1/10くらい
- 当然だが、やることが1/5〜1/10になるわけではなく、労力は全く変わらない
- 成果物のクオリティを担保することで価格が上がるわけではない
- 対策として、「東京の仕事を地方で受ける」ということは可能ではあるが、「活動資金源」「高スキルが求められる活動」という意義以外でのもの/特定の地方でやる意義はあまりない
どうやっても北海道(地方)の人口は減り、全体としての北海道(地方)経済は小さくなるため、クライアントワークの市場は狭まっていく
- 実際に札幌の広告業界は、老舗のデザイン事務所が安い案件を社内の若い人で大量に回している状況で、フリーランスや社外の若手などには仕事が回ってこない
- 余談ですが、地方の大手広告代理店子会社(電通北海道とか)は、1人の営業で年に20案件くらい別々のクライアントで回さないと利益出なそうで、めちゃめちゃ大変そうです。東京と全然違うし、そりゃそうかとも思う
プロとして熟慮した上で提案した施策が、受け入れられる確率が低い
- ローカルにおいては自治体/民間問わず、様々な事情で、経営者や担当者など特定の個人が最終的な判断を担うため、大企業のように合理的な判断による意思決定がなされることはほとんどない
- とはいえこれは大企業(JTC)でも一緒な場合もあるかもしれません、が、肌感では地方のほうがうまくいく確率がより低いです
こうした背景によって、都会と地方のビジネスが違いすぎて、まっとうに勉強して都会に出ていって都会のビジネスに慣れてしまうと、地方のビジネスと大きな落差が生まれてしまい、ローカルには居場所がなくなる状況が生まれています。
これを踏まえてトーチとしては、いいものをつくる人が正当に評価される社会を実現するためには、持続的に収益をあげられる形で、つくる側に意思決定権がある状態が必要、と考えています。単純に、いいものをつくっていれば正当に評価されて食っていけるほど、豊かな時代ではない、ということです。
そのために、長期的に、受託の仕事ではなく、自社で事業を持っていくことを計画しています。ローカルにおいては、いちから始めるよりも既存の事業をうまくいかせることを考えるほうが成功の確率も高いのでは、という仮説でを持ち、事業承継を探し、行き当たったのが現在承継を検討中の会社です。
まずは事業承継を行い、およそ2年ほどの短期間で軌道に乗せ、安定的に成長させていくことを目指しています。その後は北海道内で連続的に事業承継をしていくことも視野に入れています。
継承予定の会社の社長さんとも密にコミュニケーションをとっています。率直に、北海道の各地で担い手のいない、でも価値のある事業を続けている会社を、新しい形で引き継いで、クリエイティブやIT環境・メディア環境を活用して軌道に乗せていくことは、めちゃくちゃやりがいがあります。
とはいえ、これはめちゃくちゃ難しいと思っています。一番むずかしいのは担い手の問題です。事業承継に取り組みたい人は最近増えてきていると思いますが、普通に考えて、そもそもめちゃ地方に住みたい人が全然いないと思います。網走に関係のない人がいきなり網走に行くのは、いろいろな面で難しいのは容易に想像できます。
でも、もしひとつの会社が事業承継をすることがうまくいけば、「地方に住みたい人が全然いない」という問題と向き合いながら取り組んでいくことも可能かもしれません。次の項目にも書きますが、「引っ越し」「転職」というレベルで、事業承継ができる形を実現したい。そのための一歩だと思っています。